入口階段から特注家具に至るまで、ふんだんに使われた無垢材の質感と花々や緑。 ベージュの壁が優しく、気がつけば自然体でリラックスした自分がいる。 「友達の家に遊びに行くような感じで」というオーナーの言葉通り、インテリアからスタッフの対応まで、ここは優しくゲストを迎えてくれる雰囲気でいっぱい。 ロンドンのヴィダル・サスーン・アカデミー留学経験もあるオーナーの内藤氏は、雑誌や広告のヘアメイクとして活躍してきたキャリアと卓越したセンスを併せ持ちながら、物腰柔らかで話しやすい。その人柄に惹かれてわざわざ他府県から訪れるお客さんも多いという。 そんな内藤氏に”アン・シャーリー”というサロンに込めた思いと”美容師・美容室”についての思いを聞いてみた。

「自分たちが持っているアイデアやスタイル、考え方、人間性など全てが詰まった空間ですね。ひねくれた意味じゃなくて、“美容室らしくない”と言われるような美容室でありたいと思っています。(笑) つまりは、ヘアーメイクだけじゃなく、いろんな楽しみがある美容室にしたいなと。 それが会話だったり、香りだったり、居心地だったり。とにかく来てくださったお客さまに、髪を切るだけじゃなく他の要素でも楽しんでもらえる、そんな美容室でありたいと思っています。 “五感”で楽しんで欲しい場所です。(笑)」

私たちは美容師である前に、一人間であり、一社会人でもある。ということは、お客さまと先ず人間対人間として向き合うことが求められると思うんです。ですから、挨拶から始まるコミュニケーションが何よりも大切なんですね。それは私たちの仕事が“手”から伝える事がとても多い仕事で、技術とセンスは手から生まれていると感じてしまいがちですが、その手を動かしているのは頭でもあり心であるんですね。そういう意味でも、やっぱりお客さまとの対話というものを大切に考える必要がある仕事なんだと思います。そうしたお客さまとのやりとりを通じて、ヘアーメイクを形として表していく、それが美容師という仕事なんじゃないでしょうか。

理想というものは常に変化しているというか、最終形というものがないですね。なのでどこかに勝ちたいとか、そういうのは全くないです。ただ、心にゆとりを持って、ゆっくりと時間をかけて、この場所にコンセプトや自分とスタッフの思いを詰め込んでいきたいですね。 イメージの湧きにくいこの場所を敢えて選んだのも、ANNESHIRLEYというお店を印象づけるチャンスだと思っています。 月日と共に少しずつ成長し、長く人々にあいされ続ける。 そんな”赤毛のアン”のようなお店でありたいと思います。